P2Pの将来

前回の更新でP2P著作権について触れたが、そのことについての記事があったので紹介したいと思う。

コンピュータソフトウェア著作権協会ACCS)などがとりまとめた「2006年ファイル交換ソフト利用実態調査」の結果によると、その利用理由・目的として多く挙げられたのは、やはり無料で楽曲やソフトが手に入るというものだった。
その一方で、希少なコンテンツが入手できるからと回答したユーザーも目立ったほか、映像コンテンツにおいては「見逃したテレビ番組をダウンロードできる」との回答が最も多かった。

記事の中ではファイル交換ソフトを利用している人へ音楽関連ファイル、映像関連ファイルのそれぞれについてアンケートを行い、その利用の理由をパーセンテージでまとめている。
音楽関連では「無料でダウンロードできる」といった答えが半数以上になった。他にも「購入前の試聴」といった回答もあった。
映像関連では意見が散らばったものの、「見逃した番組を見ることが出来る」との答えが最も多かった。
このことに関してACCSの専務理事である久保田氏がコメントしている。
そこで久保田氏は「便利なソフトがあって、どうしても見たい見逃した番組が手に入るとなると、人間としては非常に弱いところ」と述べ、著作権を守る立場にありながらもこういったファイル交換ソフトを利用する立場の人たちへの理解を示した。
さらに「セキュアなP2Pによって、そこにアクセスすればいつでも課金と連動して見られるというかたちになってくると、セキュリティに問題のある従来のファイル交換ソフトをあえて使うような行為は減少すると読んでいる。多くの人が見れば、(コンテンツの)値段も比較的リーズナブルになる」とも述べ、P2P技術を利用した新たなステップを示唆した。
セキュアなP2Pとはウィルス、情報漏えいなどの問題だけでなく、著作権保護などの観点からも考えた仕組みであると記事では補足している。
そして、
「絶版になった本など、人類共有のナレッジ資産にアクセスしたいけどできないということであれば、別の手立てで解決していくことになる。それは、著作権法の問題ではないかもしれない。文化や国のアイデンティティの問題として、国が税金を使ってでもやるべきことかもしれない。そういう発想に転化していかないと、すべての問題を著作権が背負ってしまうことになる。『著作権があるから、(ナレッジ資産を共有することが)できない』と言われることは避けたい。」
と、著作権の見直しを考えるようなコメントもしている。
最後に「セキュアなP2P技術を使って著作物の正規の流通を促進し、なおかつ課金と連動できればありがたいし、ACCSはそういう技術の推進も支援したい」と延べ、P2P技術が新たな局面を迎えるための可能性を見出してくれた。


P2Pは悪と思っている人も中にはいるかもしれないが、技術として革新的であるということは紛れもない事実である。
これから久保田氏の言うようなセキュアなP2Pが実現するためには著作権だけではなく、国の協力が必要であると私も感じた。
誰もが安心して素晴らしい技術を使うためにはこれからまだまだ時間がかかりそうである。

「見逃した番組を見られる」ファイル交換ソフトを使う大きな理由の1つに